【ステライト】 ≪用途≫
鍛造金型、ロータリーフィダーローラー、ブロアに使用します。
≪使用特性≫
1.TST-1Gは硬度が一番高く優れた耐摩耗性を持って
いますが衝撃に弱い。
2.TST-2GはTST-1GとTST-3Gの中間の性質です。
3.TST-3Gは靭性が最も大きく熱間・冷間の衝撃に耐え
亀裂発生は殆んどありません。硬度は上記2種類に比べ
一番低くなっています。
≪使用上の注意≫
1.母材の種類、品質形状により熱処理を行います。
2.溶着台金面は機械加工または研削により汚れをとり
カドはRをとります。
3.溶接時には予熱を行い、十分な後熱・徐冷が必要です。
4.溶接の方法は別頁ステライト溶接を参照してください。
【鋳鉄肉盛用】
≪用途≫
各種鋳鉄部品の溶接、補修、巣埋めやプレス金型の形状肉盛、
鋳鉄への硬化肉盛時の下盛用に使用します。
≪使用特性≫
1.鉄ニッケル系の黒鉛被覆溶接棒で、機械的性質や耐割れ性
が優れているため、ダクタイル鋳鉄への肉盛や鋳鉄と軟鋼な
どの溶接に適しています。
2.特殊鉄ニッケル心線を使用していますので、従来の鉄ニッケ
ル系溶接棒の棒やけの欠陥を解決した溶接棒で連続溶接も
可能で20%程度効率がアップします。
≪使用上の注意≫
1.一般には予熱、後熱の必要はありませんが重要部品の場合
は100~200℃の予熱を行うと良好な結果が得られます。
2.吸湿した場合は100℃で30分間再乾燥して下さい。
3.FC材に使用する場合、割れ軽減のためピーニングの実施を
推奨します。
【熱間冷間金型肉盛用】
≪用途≫
ダイカスト金型の溶接部や形状修正に使用します。
≪使用特性≫
1. 溶接後の硬度は主にダイカスト金型に使われるSKD61と
ほぼ同等の硬度(HRC35~43)を示し、機械加工性が
良好な溶加棒です。
2. ヒートチェックの発生が少なく、金型の寿命を延長できます。
≪使用上の注意≫
1. 母材の成分、大きさ、形状によって施工方法が異なりますが、
炭素量の多い材料に対しては少なくとも予熱は350℃以上
与えてください。
2. 層間温度は200~300℃が必要で溶接後徐冷して下さい。
3. 応力除去には、500℃の徐冷を与えてください。
【金属間衝撃摩耗用】
≪用途≫
鍛造金型、打抜金型、ダイスなどの肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1.溶着金属はマルテンサイト組織で溶接のままで高硬度が
得られます。
2.特殊線材を使用しておりますので作業性が良好で安定した
溶着金属が得られます。
≪使用上の注意≫
1.一般に予熱及び層間温度は150~200℃を必要とします。
2.高炭素鋼、合金鋼等硬化性鋼材に多層盛する場合は
500~600℃に後熱し徐冷します。
3.溶接棒は使用前に200~250℃で1時間乾燥してください。
【ステライト】
≪用途≫
高温バルブ、ホットシャープレート、鍛造ダイス、
ガイドロールなどの肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1.コバルト合金系溶接棒で耐摩耗性、耐熱性、耐食性
に優れ、衝撃をともなう高温における腐食を受ける
部品の肉盛に適します。
2.耐亀裂性、耐熱衝撃性も良好です。
≪使用上の注意≫
割れの発生を防ぐために250℃以上の予熱を行うと
有効です。溶接後、十分な後熱を行い徐冷してください。
【高 速 度 鋼 用】
≪用途≫
トリマーナイフ、カッター、総型バイト、金型ダイス等の補修及び
新作に使用します。
≪使用特性≫
1.Mo基高速度鋼の溶着金属を作り出す溶接棒で高温の金属
間摩耗に優れています。例えばバイトのチップをアーク溶接
により形成することが簡単にできます。
その他プレス金型や削岩機の先端などに使用します。
2.溶接後、550℃で焼戻処理(加熱放冷1~2回)を行うと更に
硬度を高めます。
≪使用上の注意≫
1.予熱層間温度は300~500℃を必要とします。
2.溶接後の亀裂防止及び硬度上昇のためには徐冷が必要です。
3.下盛を用いるときはHT-1を使用してください。
4.高速回転のディスクサンダー等、著しい研削熱のかかるような
加工は割れを発生させるため、避けてください。
ステライト≪用途≫
カッター刃先、バンバリミキサーローターエッジに使用します。
≪使用特性≫
TST-2GはTST-1GとTST-3Gの中間の性質です。
≪使用上の注意≫
1.母材の種類、品質形状により熱処理を行います。
2.溶着台金面は機械加工または研削により汚れをとり
カドはRをとります。
3.溶接時には予熱を行い、十分な後熱・徐冷が必要です。
≪用途≫ダクタイル鋳鉄の溶接、シリンダーブロック、モーターベット
ケーシング、歯車等の各種鋳鉄部品の補修、プレス金型の
形状肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1.Fe-Ni心線を使用した黒鉛系溶接棒で溶接境界部の
硬化性が少なくTC-1に比べて機械的性質と耐割れ性は
極めて良好です。特にダクタイル鋳鉄などの溶接部の
強度、耐圧力を要求される部品に使用されます。
2.低電流における作業性は極めて良好です。
3.ブローホールや割れの欠陥は出難く、X線性能も良好です。
≪使用上の注意≫
1.一般には予熱、後熱の必要はありませんが重要部品
の場合は100~200℃の予熱を行うと良好な結果
が得られます。
2.吸湿した場合は100℃で30分間再乾燥して下さい。
3.FC材に使用する場合、割れ軽減のためピーニングの実施
を推奨します。
詳細スペックは弊社ホームページか、PDFカタログをご覧ください。
【金型肉盛用】
≪用途≫
鍛造金型、打抜型、ダイス、圧延機ガイド、鎖リンクなどの
硬化肉盛及び補修溶接に使用します。
≪使用特性≫
1. 溶接金属の硬度及び組織が均一で溶接のままで高硬度
が得られます。
2. 溶着金属は靭性があり、耐亀裂性、耐衝撃性が優れて
います。
≪使用上の注意≫
1. 一般には150~200℃の予熱が必要です。またパス間温度
も150℃以上をキープする必要があります。
2. 高炭素鋼や合金鋼などの硬化性鋼材には、300~400℃
の予熱、500~600℃の後熱が必要です。
【フレームハード鋼用】
≪用途≫
フレームハード鋼(火炎焼入鋼)の肉盛溶接に使用します。
≪使用特性≫
フレームハード鋼に近い成分の溶着金属が得られ焼入れ
焼きなましを繰り返しても母材と同等の硬度が得られます。
≪使用上の注意≫
1.母材がフレームハードニング前の場合
・予熱・層間温度共に200℃を保持してください。
・溶接後、溶着金属の焼きなましを行い、母材と同時に
フレームハードニングすることにより母材部と同等の
硬度が得られます。
2.母材がフレームハードニング後の場合
・予熱・層間温度共に250℃を保持してください。後熱・徐令
の必要はありません。
・溶着金属は母材と同程度の硬度が得られます。
3.溶接部の油や汚れは除去してください。
【鋳鉄肉盛 ・ 補修用】
≪用途≫
TC-1相当のティグ溶加棒で、普通鋳鉄やダクタイル鋳鉄の
肉盛及び補修に使用します。
≪使用特性≫
1.純ニッケルをベースにしたティグ溶加棒で、一般的に
薄物や肉盛量の少ない金型の肉盛・補修などに使用
します。
2.作業性がよく美麗なビードが得られます。
3.溶着金属の機械加工も極めて容易です。
≪使用上の注意≫
母材の材質や大きさによっても異なりますが、約150℃
の予熱を行なうと更に良好な結果が得られます。
【プラスチック金型鋼用】
≪用途≫
Cr-Mo系プレハードン鋼(プラスチック金型鋼)の
ティグ溶接肉盛溶接用
≪使用特性≫
1. TMC-5WGは、Cr-Mo系のプレハードン型、プラスチック金型
の肉盛溶接で、母材に近い溶着金属の得られるティグ溶接用
溶加棒です。
2. 優れた溶接作業性を示し、ほぼ予熱・後熱処理なしで施工でき
ますが、複雑形状、厚肉母材や肉盛の厚さが大きい場合は、
予熱が必要です。
3. 母材と溶着金属の硬さはほぼ同等で、熱影響部の硬さ上昇
も少ないので、シボ加工ムラが低減できます。
≪使用上の注意≫
1. 予熱・後熱処理なしで作業できますが、100℃~200℃程度
の予熱を行うと、より安全になります。
2. 溶接部及び溶接棒は水分や油脂などの汚れがない状態で
使用してください。
【鋳鉄金型硬化肉盛用】
≪用途≫
プレス金型の直肉盛に適したティグ溶加棒です。
≪使用特性≫
1.被覆アーク溶接棒TM-2000Cをティグ溶接用に開発した
溶加棒で、鋳鉄の直肉盛において溶着金属はオーステナイト
組織を示しますので、耐割れ性が極めて良好です。
また耐気孔性も優れています。
2.溶接のままでHRC30未満の低硬度ですが、加工硬化性が
大きいので衝撃を受けると著しく硬化します。
≪使用上の注意≫
1.溶接部の油や汚れはブローホールの原因となりますので
除去してください。
2.予熱は必要ありませんが約150℃の予熱は効果的です。
3.3層以上盛り上げるときはT-3N、TS-12Gなどで
下盛をしてください。
【焼入鋳鉄金型硬化肉盛用(かじり防止用)】
≪用途≫
焼入鋳鉄材の各種金型の直盛りに使用します。
≪使用特性≫
1.鋳鉄に肉盛する場合は、下盛にNi、Fe-Ni系棒を使用して、
その上層に表面硬化棒を肉盛する方法が一般に採用され
ておりますが、TM-2000BNは鋳鉄母材に直接肉盛が可能
でありプレス金型のかじり対策に効果があります。
2.鋳鉄(特に焼入鋳鉄)の肉盛溶接において、母材と肉盛
溶接部との境界部に割れが発生することが多いですが、
TM-2000BNは、境界割れの発生を低減させました。
≪使用上の注意≫
1.溶接棒は使用前に200℃以上で約1時間再乾燥して下さい。
2.溶接前に、溶接部を中心に100℃~150℃に予熱を実施
すると、割れ防止に効果があります。
(とくに焼入れ鋳鉄に溶接する時に予熱は必須です)。
3.3層盛以上の場合、下盛 (焼入鋳鉄の場合、TC-3、
TC-3A、TC-3N)を行い、ピーニングを実施すると割れや
ブローホールの防止に効果があります。
4.溶接時に風を当てると割れやブローホールの原因になります。
(特に扇風機やスポットクーラーなど御注意下さい。)
【鋳鉄金型直盛硬化肉盛用(かじり防止用)】
≪用途≫
鋳鉄製の各種金型の耐摩耗・耐かじり肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1.鋳鉄に肉盛する場合は、下盛にNi、Fe-Ni系棒を使用して、
その上層に表面硬化棒を肉盛する方法が一般に採用され
ておりますが、TM-2000Bは鋳鉄母材に直接肉盛が可能
でありプレス金型のかじり対策に効果があります。
2.溶着金属1層目はセミオーステナイト組織、2層目よりマル
テンサイト組織となり、耐摩耗性が得られます。
≪使用上の注意≫
1.溶接棒は使用前に200℃以上で約1時間再乾燥してくだ
さい。
2.アーク長はできるだけ短くし、ウィービングはさけ、ストレート
運棒してください。
3.3層盛以上の場合、下盛 (FCDにはTS-12、MTS-100、FC
にはTC-3、TC-3A, TC-3N)を行い、ピーニングを実施する
と割れやブローホールの防止に効果があります。
4.溶接時に風を当てると割れやブローホールの原因になります。
(特に扇風機やスポットクーラーなど御注意下さい。)
5.焼入硬化性のある鋳鉄に溶接する場合、100~150℃の
予熱を行うと割れ防止に効果があります。
【土砂重摩耗用】
≪用途≫
カッターナイフ、スピードマラー、サンドポンプ、
コンベアスクリュー等の肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1. タングステンカーバイド系溶接棒で、その耐摩耗性は
著しく優れております。溶着金属中のタングステン
カーバイドの粒子の硬度はダイヤモンドにも匹敵
するものです。
2. 溶着金属は衝撃の少ない激しい土砂摩耗に極めて
良好です。
≪使用上の注意≫
1. 予熱は300℃以上を必要とします。
2. 溶接後400~600℃程度の後熱を行なって下さい。
3. できる限り低電流を使用してください。
【鋳鉄金型直盛硬化肉盛用】
≪用途≫
鋳鉄製の各種金型の直肉盛に適します。
≪使用特性≫
1.TM-2000の硬度を低めた溶接棒です。鋳鉄の直肉盛において
溶着金属はオーステナイト組織を示しますので耐割れ性が極めて
良好です。また耐ブローホール性も優れています。
≪使用上の注意≫
1.溶接棒は使用前に200℃以上で約1時間再乾燥してください。
2.アーク長はできるだけ短くし、ウィービングはさけ、ストレート
運棒してください。
3.3層盛以上の場合、下盛(FCDにはTS-12、MTS-100、FCには
TC-3、TC-3A、TC-3N)をすると、割れやブローホール防止の
効果があります。
4.溶接時に風を当てると割れやブローホールの原因になります。
(特に扇風機やスポットクーラーなど御注意下さい。)
5.割れ防止のためピーニングを実施して下さい。特にFC材には必須です。
【ス テ ラ イ ト】
≪用途≫
高温バルブ、ホットシャーブレード、鍛造ダイス、ガイドロール
などの肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1.コバルト合金系アーク溶接棒で耐摩耗性、耐熱性
耐食性に優れ、衝撃をともなう高温における腐食
を受ける部品の肉盛に適します。
2.耐亀裂性、耐熱衝撃性も良好です。
≪使用上の注意≫
1.溶け込みが深くなると硬度が低下する場合が
ありますのでできるだけ低電流を使用してください。
2.割れの発生を防ぐために250℃以上の予熱を行ない、
溶接後、十分な後熱を行い徐冷してください。
【熱間金型肉盛用】
≪用途≫
ダイカスト金型の溶接部や形状修正に使用します。
≪使用特性≫
1. 溶接後の硬度は主にダイカスト金型に使われるSKD61と
同等のHRC 39~44となります。
2. ヒートチェックの発生が少なく、金型の寿命を延長できます。
≪使用上の注意≫
1. 母材の成分、大きさ、形状によって施工方法が異なりますが、
炭素量の多い材料に対しては少なくとも予熱は350℃以上
与えてください。
2. 層間温度は200~300℃が必要で溶接後徐冷して下さい。
3. 応力除去には、500℃の徐冷を与えてください。
【軟鋼及び490N/㎜2級高張力鋼用】
≪用途≫
鉄骨橋梁、自動車、車両、冷暖房装置、産業機械、機械
工具、軽量形鋼、造船など 軟鋼及び490N/㎜2級
高張力鋼を使用した各種構造物の突合せ及びすみ肉溶接
≪使用特性≫
大電流域でもアークが安定しスパッタも少なく溶接作業が
良好で溶着速度が速く溶け込みも深いので高能率溶接が
できます。
≪使用上の注意≫
大電流特性で使用するため、下向き(突合せ、すみ肉)
姿勢、横向き姿勢、水平すみ肉姿勢の溶接に適します。
炭酸ガスはJISK1106(液化炭酸)の3種または溶接用
炭酸ガスを使用してください。
シールドガスの流量は20~25ℓ/min. 程度が適当です。
作業場の状況に応じて換気をしてください。
チップ(ノズル)と母材の距離は15mm前後(250A以下)
20~25mm(250A以上)程度に保ってください。
【鋳鉄肉盛用(プレス金型)】
≪用途≫
TC-3F相当のティグ溶加棒で、普通鋳鉄やダクタイル鋳鉄の肉盛
及び補修に使用します。
≪使用特性≫
1.Fe-Niに特殊元素を加え、プレス金型専用に開発された
ティグ溶加棒です。
2.溶着金属はFCDと同等の硬さを有し耐摩耗性に優れています。
3.溶着金属に対する硬質クロムメッキの密着性は非常に良好です。
≪使用上の注意≫
1.溶接部の油や汚れはブローホールの原因となりますので
除去してください。
2.予熱は必要ありませんが約150℃の予熱を行うとさらに
良好な結果が得られます。
3.FC材に使用する場合、割れ軽減のためピーニングの実施を
推奨します。
鋳鉄用 被覆アーク溶接棒 TC-1
【用途】
シリンダーブロック、モーターベット、ケーシング、歯車など
各種鋳鉄部品の補修、巣埋め、接合やミーハナイト鋳鉄
鉄 合金鋳鉄などの補修にも使用します。
【使用特性】
純ニッケル心線を使用した黒鉛系溶接棒で、溶接境界部
の硬化性はもっとも少なく、溶接部の機械加工は極めて容易です。
低電流における作業性は極めて良好です。
ブローホールや割れの欠陥は出難く、X線性能も良好です。
【使用上の注意】
1.一般には予熱、後熱の必要はありませんが重要部品の場合は100℃~200℃の予熱を行うと良好な結果が得られます。
2.吸湿した場合は100℃で30分間再乾燥して下さい。
詳細スペックは弊社ホームページか、PDFカタログをご覧ください。
【金型硬化肉盛用(切刃用)】
≪用途≫
各種金型の切刃の肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1.溶着金属はマルテンサイト組織で溶接のままで
高硬度がえられます。
2.溶着金属にはブローホールの発生がなく作業性
も良好です。
3.加工硬化がおきやすいので硬度が上昇すること
があります。
≪使用上の注意≫
1.一般に予熱及び層間温度は150~200℃を必要
とします。
2.高炭素鋼、合金鋼等硬化性鋼材に多層盛する場合
は、下盛にHT-1またはTS-12を使用すると良好な
結果が得られます。
3.溶接棒は使用前に200~250℃で1時間乾燥
してください。
【鋳鉄金型直盛硬化肉盛用(かじり防止用)】
≪用途≫
鋳鉄製の各種金型の耐摩耗、耐かじり肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1.鋳鉄に肉盛する場合は、下盛にNi、Fe-Ni系棒を使用して、
その上層に表面硬化棒を肉盛する方法が一般に採用されて
おりますが、TM-2000は鋳鉄母材に直接肉盛が可能であり
プレス金型のかじり対策に効果があります。
2.溶着金属1層目はセミオーステナイト組織、2層目より
マルテンサイト組織となり、耐摩耗性が得られます。
≪使用上の注意≫
1.溶接棒は使用前に200℃以上で約1時間再乾燥してください。
2.アーク長はできるだけ短くし、ウィービングはさけ、ストレート
運棒してください。
3.3層盛以上の場合、下盛 (FCDにはTS-12、MTS-100、
FCにはTC-3、TC-3A, TC-3N)を行い、ピーニングを実施すると
割れやブローホールの防止に効果があります。
4.溶接時に風を当てると割れやブローホールの原因になります。
(特に扇風機やスポットクーラーなど御注意下さい。)
5.焼入硬化性のある鋳鉄に溶接する場合、100~150℃の
予熱を行うと割れ防止に効果があります。
【鋳鉄肉盛 ・ 補修用 (プレス金型)】
≪用途≫
TC-3,TC-3A相当のティグ溶加棒で、普通鋳鉄や
ダクタイル鋳鉄の肉盛及び補修に使用します。
≪使用特性≫
1.Fe-Ni合金に特殊元素を加えたティグ溶加棒で、金型の
肉盛や巣埋に使用します。
2.Fe-Ni合金ですので硬質クロムメッキを施す部位に
溶接が可能です。
3.溶着金属の機械加工も極めて容易です。
≪使用上の注意≫
1.溶接部の油や汚れはブローホールの原因となりますので
除去してください。
2.予熱は必要ありませんが約150℃の予熱を行うとさらに
良好な結果が得られます。
3.FC材に使用する場合、割れ軽減のためピーニングの実施
を推奨します。
【鋳鉄肉盛用】
≪用途≫
プレス金型の形状肉盛溶接及びダクタイル鋳鉄全般の補修
溶接に使用します。
≪使用特性≫
TC-3Fは、プレス金型専用に開発した鋳鉄肉盛用被覆アーク
溶接棒で下記の通り従来のFe-Ni系溶接棒の欠点を克服し
極めて優れた性能を有しています。
1.TC-3Fの肉盛部に対するクロムメッキの密着性は非常に
良好です。
2.溶着金属は母材(FCD)と同等の硬さを有し耐摩耗性に
優れています。
3.複合心線を使用しているので棒焼けすることがなく
高能率に溶接ができます。
≪使用上の注意≫
1.溶接方法はTC-3、TC-3A に準じて行ってください。
2.FC材に使用する場合、割れ軽減のためピーニングの実施
を推奨します。
【鋳鉄金型硬化肉盛用】
≪用途≫
鋳鉄の各種金型の直肉盛溶接に適するソリッドワイヤです。
≪使用特性≫
1.被覆アーク溶接棒TM-2000Cと同等の特性を持った、マグ
溶接用ソリッドワイヤで、主に半自動溶接機で使用します。
2.溶接金属はM-2000より低硬度で、耐割れ性に優れます。
3.設計変更などで肉盛量が大量な場合、溶接時間の大幅
な短縮が計れます。
≪使用上の注意≫
1.シールドガスには 80%アルゴン+20%CO2またはCO2
を使用します。
アルゴン+CO2の方がスパッタが少なくビード外観も良好です。
2.溶接部の汚れは、ブローホールの原因となりますので除去して
してください。
3.溶接時に風を当てると割れやブローホールの原因になります。
特に屋外では防風対策が必要です。
4.溶接方法は前進法(トーチ先端方向へ進む)で行い、基本的には
ウィービングは極力避けストレート運棒で溶接してください。
【鋳鉄金型直盛硬化肉盛用(切刃用)】
≪用途≫
鋳鉄製の各種金型の硬化肉盛に用います。
≪使用特性≫
1.従来鋳鉄製プレス金型の切刃の部位に肉盛する場合、下盛
にNi、Fe-Ni系棒、上盛に表面硬化棒で肉盛する方法が一般
的でしたが、TC-8Bは鋳鉄母材に直接肉盛でき所定の硬度
が得られるので、作業能率が大幅に改善できる溶接棒です。
2.溶着金属1層目はオーステナイト組織、2層目よりマルテン
サイト組織となり、耐摩耗性が得られます。
3.フレームハード鋳鉄にも直盛が可能です。
4.母材の希釈による硬度低下防止のため、1~2層の場合
2~3mmの開先取りを行って下さい。
≪使用上の注意≫
1.溶接棒は使用前に200~250℃で1時間乾燥してください。
2.予熱はとくに必要ありませんが、焼入硬化鋳鉄の場合は
100~150℃の予熱を行って下さい。
【各種金型肉盛用】
≪用途≫
総型バイト、トリマーナイフ、カッター、金型ダイスなどの
硬化肉盛溶接に使用します。また、SKD11総焼後の補修
にも使用します。
≪使用特性≫
1.THS-GはMo系高速度鋼 SKH 51に類似した
組成の溶着金属を得る硬化肉盛用のティグ溶加棒で
溶着金属は溶接のままでもHV690程度の高硬度が
得られます。550℃の焼戻処理によりHV830程度に
2次硬化し靭性も得られます。
2.高温硬度の低下も少ないため、600℃までの熱間で
使用される金型類に使用しても、優れた性能を示します。
≪使用上の注意≫
1.母材の材質や大きさによっても異なりますが、予熱及び層間
温度は200~500℃が必要で溶接後は徐冷してください。
2.高速回転のディスクサンダー等、著しい研削熱のかかるような
加工は割れを発生させるため、避けてください。
【鋳鉄肉盛用 (プレス金型)】
≪用途≫
普通鋳鉄やダクタイル鋳鉄のプレス金型の肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1.Fe-Ni 線材に特殊元素を加えプレス金型専用に開発された
ソリッドワイヤで、半自動溶接機で使用します。
2.大量の肉盛時に、大幅な溶接時間の短縮が図れます。
3.溶着金属はFCDと同等の硬度を有し、硬質クロムメッキ
の密着性も良好です。
≪使用上の注意≫
1.シールドガスには 80%アルゴン+20%CO2またはCO2
を使用しますが、80%アルゴン+20%CO2の方が
スパッタが少なく、ビード外観も良好です。
2.シールドガスや母材のちがいにより、適正条件が変化しますので、
御注意下さい。
3.一般には予熱、後熱の必要はありませんが100℃程度の
予熱を行なうと二番硬化防止に効果的です。
4.溶接方法は前進法(トーチ先端方向へ進む)で行い、基本的には
ウィービングは極力避けストレート運棒で溶接してください。
5.収縮応力を軽減するためピーニングを行なう事をお薦めします。
【インコネル合金】
≪用途≫
インコネル625などの高Ni合金及び各種合金の
異材溶接に適しています。
≪使用特性≫
TIC-625Gは溶着金属がNi-Cr-Moのインコネル
合金となるティグ用溶加棒で耐熱、耐酸、耐食材料
としてジェットエンジン、陸上用大型ガスタービンなど
に使用されます。
≪使用上の注意≫
1.母材の予熱、後熱は特に必要ありません。
2.ウィービングはできるだけ避けて、ストレート
ビードで溶接して下さい。
【熱間冷間金型肉盛用】≪用途≫
プレス金型、ダイカスト金型、押出しダイスなどの硬化肉盛に
使用します。
≪使用特性≫
1.DS-61GはSKD61に類似した組成の溶着金属を
得る硬化肉盛用のティグ溶加棒です。
2.溶着金属は耐熱、耐食、耐摩耗、耐衝撃性に優れており
ます。
3.SKD11相当材の熱処理(総焼入れ)後の修正時に1~2
層で母材と同等の硬度が得られます。
≪使用上の注意≫
1.母材成分、大きさ、形状によって施工方法が異なり
ますが、共材や炭素量の多い材料に対しては少なくとも
予熱は350℃以上与えてください。
2.層間温度は200~300℃が必要で溶接後徐冷して
ください。
3.溶接後の使用条件によっては更に熱処理する必要が
あります。
4.応力除去には500℃の後熱を与えてください。
【金属間摩耗及び土砂摩耗用】
≪用途≫
ホットシャーの肉盛、高マンガン鋼の接合または肉盛
レールクロッシング、ブルドーザー部品、クラッシャー等の
耐熱、耐重衝撃、耐摩耗の肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1. 16Cr-16Mn心線を使用した溶接棒で、溶着金属
は溶接のままでオーステナイト組織になり高い靭性
と加工硬化性を有します。
2. 13%Mn鋼の溶接に最適です。機械切削加工は
超硬バイトで可能です。
≪使用上の注意≫
1. 高合金心線のため電気抵抗が高く、一般より低め
の電流で溶接します。
2. 高マンガン鋼の溶接にはHT-1で下盛してください。
【55キロ高張力鋼用】
≪用途≫
軟鋼、高炭素鋼、高張力鋼、低合金鋼および低温用アルミ
キルド鋼用のティグ溶加棒で、割れの発生し易い材料の
溶接、その他裏波溶接、硬化肉盛の下盛用に使用します。
≪使用特性≫
1.低温での靭性に優れています。
2.各種パイプの裏波溶接に適しています。
≪使用上の注意≫
1.直流正極性で使用してください。
2.できるだけ高純度のアルゴンガスを使用してください。
3.タングステン電極の突きだし長さはノズル口径の約半分
以下としてください。
4.溶接部の清掃は十分行った方がブローホール発生の
原因になりません。
【冷間金型肉盛用】
≪用途≫
プレス金型、抜型、ねじ転造ダイスなどの硬化肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1.DS-11GはSKD11に類似した組成の溶着金属を得る
硬化肉盛用のティグ溶加棒です。
2.溶着金属は耐食性、耐摩耗、耐衝撃性に優れております。
3.基本的に熱処理前に使用し、溶接後熱処理することにより
母材と同等の硬度が得られます。
≪使用上の注意≫
1.母材の成分、大きさ、形状によって施工方法が異なりますが
共材や炭素量の多い材料に対しては少なくとも予熱は350℃
以上行って下さい。
2.溶接後の熱処理はSKD11材と同じ条件で実施してください。
【金属間摩耗用】
≪用途≫
シャフト、車輪、歯車、クレーンホイル等の肉盛
に使用します。
≪使用特性≫
1. 高酸化チタン系溶接棒でTM-1と同一目的に使用され
ますが、硬度が若干高くなっています。
機械加工は可能です。
2. 溶着金属は靭性及び焼入れ性に富んでいます。
加工後の焼入れ硬化も可能です。
≪使用上の注意≫
高、中炭素鋼、低合金鋼に肉盛りするときは、150~200℃
の予熱が必要です。
【55キロ高張力鋼用】
≪用途≫
高炭素鋼、高張力鋼、低合金鋼等特に割れを発生しやすい材料
の溶接その他裏波溶接、硬化肉盛の下盛用に使用します。
≪使用特性≫
1.耐割れ性がすぐれています。
2.連続溶接でもスラグの剥離性が良好です。
≪使用上の注意≫
1.溶接棒は使用前に300~350℃で30分~60分乾燥して
下さい。
2.溶接のスタートはブローホールの発生を防ぐため後戻り法
または捨金法を行ってください。
3.アーク長はできるだけ短く保ってください。
【ス テ ラ イ ト】≪用途≫
鍛造金型、ロータリーフィダーローラー、ブロアに使用します。
≪使用特性≫
1.TST-1は硬度が一番高く優れた耐摩耗性を持っています
が衝撃には弱い。
2.TST-2はTST-1とTST-3の中間の性質です。
3.TST-3は靭性が最も大きく熱間冷間の衝撃に耐え、亀裂発生
は殆どありません。硬度はTST-1,TST-2に比べ一番低いです。
≪使用上の注意≫
1.母材の種類、品質、形状により熱処理を行ないます。
2.肉盛溶接部は機械加工または研削により汚れをとり
カドはRをとります。
3.溶接時には予熱を行い、十分な後熱・徐冷が必要です。
4.溶接の方法は別頁ステライトの溶接を参照ください。
【フレームハード鋼用】
≪用途≫
フレームハード鋼(火炎焼入鋼)の肉盛及び補修に使用します。
≪使用特性≫
フレームハード鋼に近い成分の溶着金属が得られ、焼入れ・焼なまし
を繰り返しても母材と同等の硬度が得られます。
≪使用上の注意≫
1.母材がフレームハードニング前の場合
・予熱・層間温度共約250℃を保持してください。
・溶接後、溶着金属の焼なましを行い、母材と同時にフレーム
ハードニングをすることにより母材部と同等の硬度が得られます。
2.母材がフレームハードニング後の場合予熱・層間温度共約250℃
を保持してください。その後、後熱・徐冷は必要ありません。
溶着金属は母材と同等の硬度が得られます。
3.溶接部の油や汚れは除去してください。
【軟鋼及び490N/㎜2級高張力鋼用】
≪用途≫
自動車、車両、電気製品、冷暖房装置、産業機械など軟鋼及び
490N/㎜2級高張力鋼を使用した各種構造物の突合せ及び
すみ肉溶接
≪使用特性≫
ショートアーク域でのアーク安定性が良好でスパッタが少なく
溶接作業性にすぐれたワイヤです。
≪使用上の注意≫
炭酸ガスはJIS3種または溶接用炭酸ガスを使用してください。
炭酸ガスの流量は原則として20ℓ/min. としてください。
風速2m/sec. 程度のときは25~30ℓ/min. 流してください。
これ以上の風速のときは風よけをして溶接してください。
チップと母材間の距離は10~20mm(300A以下の時)、
20~25mm(300A以上のとき)に保って溶接ください。
通常予熱は必要ありませんが、炭素量が高い(C量:0.30%以上)
鋼種に適用する場合は予熱を必要としますので注意ください。
【金型肉盛用】
≪用途≫
鍛造金型、打抜金型、プレス金型、ダイス、圧延機ガイド、
鎖リンクなどの補修溶接に使用します。
≪使用特性≫
1.TM-60は耐熱鋼SUH-1,SUH-3に近い成分の溶着金属が
得られ、高硬度で耐摩耗性が非常に優れています。
2.溶着金属は靭性があり、耐亀裂性、耐衝撃性が良好です。
≪使用上の注意≫
1.母材により150℃以上の予熱が必要で、層間温度は150℃
以上に保持してください。
2.多層盛の場合、下盛にHT-1を用いると良好です。
3.溶接後急冷を避けると亀裂防止に効果的です。
4.溶接棒は使用前に200~250℃で1時間乾燥して下さい。
【プレス金型硬化肉盛用(盛刃)】
≪用途≫
プレス金型の盛刃に使用するティグ溶接用溶加棒です。
≪使用特性≫
1.鋳鉄(FC、FCD)に直盛ができ、2層盛で切刃の硬度が得られます。
2.硬化肉盛ワイヤNIW-5やTC-8B,TC-8M等の肉盛加工後の修正
など小さな部位の肉盛に最適です。
≪使用上の注意≫
1.溶接部の油や汚れはブローホールの原因となりますので
除去してください。
2.鋳鉄直盛の場合、1層盛では硬度が安定しませんので必ず2~3層
盛で使用してください。
【ス テ ラ イ ト】≪用途≫
カッター刃先、バンバリミキサ、ローターエッジ等に使用します。
≪使用特性≫
1.TST-1は硬度が一番高く優れた耐摩耗性を持っています
が衝撃には弱い。
2.TST-2はTST-1とTST-3の中間の性質です。
3.TST-3は靭性が最も大きく熱間冷間の衝撃に耐え、亀裂発生
は殆どありません。硬度はTST-1,TST-2に比べ一番低いです。
≪使用上の注意≫
1.母材の種類、品質、形状により熱処理を行ないます。
2.肉盛溶接部は機械加工または研削により汚れをとり
カドはRをとります。
3.溶接時には予熱を行い、十分な後熱・徐冷が必要です。
【鋳鉄金型硬化肉盛用(かじり防止)】
≪用途≫
プレス金型の摩耗及びかじりが発生する部位に直盛する
ソリッドワイヤです。
≪使用特性≫
1.被覆アーク溶接棒TM-2000をマグ溶接用に開発した
ソリッドワイヤで、半自動溶接機で使用します。
2.肉盛量が大量な場合、溶接時間の大幅な短縮が計れます。
≪使用上の注意≫
1.シールドガスには 80%アルゴン+20%CO2またはCO2
を使用します。
アルゴン+CO2の方がスパッタが少なくビード外観も良好です。
2.溶接部の汚れは、ブローホールの原因となりますので除去して
してください。
3.予熱は必要ありませんが、150℃程度の予熱は効果的です。
4.溶接方法は前進法(トーチ先端方向へ進む)で行い、基本的には
ウィービングは極力避けストレート運棒で溶接してください。
【鋳鉄金型硬化肉盛用(かじり防止)】
≪用途≫
プレス金型の摩耗及びかじりが発生する部位に直盛するティグ
溶加棒です。
≪使用特性≫
1.被覆アーク溶接棒 TM-2000をティグ溶接用に開発した
溶加棒で、鋳鉄にNiあるいはFe-Ni系の下盛をする必要が
なく鋳鉄母材に直接肉盛が可能です。
2.溶着金属1層目はセミオーステナイト組織、2層目より
マルテンサイト組織となりすぐれた耐摩耗性が得られます。
≪使用上の注意≫
1.溶接部の油や汚れはブローホールの原因となりますので
除去してください。
2.予熱は必要ありませんが約150℃の予熱は効果的です。
3.3層以上盛り上げるときはT-3N、TS-12Gなどで
下盛をしてください。
【金型肉盛用(マルエージング鋼)】
≪用途≫
アルミダイキャスト金型、低圧鋳造金型、鍛造金型、打抜金型
プラスチック金型の肉盛溶接に使用します。
≪使用特性≫
1.18%Niマルエージング鋼溶接棒で溶接のままでは溶着金属
はやわらかく切削は可能で靭性に富んでいます。
2.機械加工後480℃で3時間の時効処理を行うことにより
高硬度が得られます。
≪使用上の注意≫
1.時効処理は480~520℃で3時間が適当です。
2.過時効にならないように処理温度は注意して下さい。
【29Cr-9Ni ステンレス鋼用異種金属接合用】
≪用途≫
ステンレス鋼と軟鋼、特殊鋼の接合など、異材溶接や下盛溶
接等に幅広く使用されます。
≪使用特性≫
1.溶着金属は29Cr-9Niステンレス鋼に類似しており、オース
テナイト系ステンレス用溶接材料の中で最もフェライト量が
多く、耐亀裂性、耐酸性に優れています。
2.硬化肉盛溶接の下盛にも使用されます。
≪使用上の注意≫
1.母材の亀裂防止のためできるだけ低電流を使用ください。
2.高合金工具鋼など特殊鋼の溶接には200℃以上の予熱が
必要です。
【金属間衝撃摩耗用】
≪用途≫
鍛造金型、引抜金型、プレス金型、ダイスなどの硬化肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1.溶着金属はマルテンサイト組織で溶接のままで高硬度が
得られます。
2.溶着金属は溶け込みが少ないので1層目から十分な硬度が
得られます。
3.比較的低電流で作業ができるため、溶込みを少なくすることが可能
です。
≪使用上の注意≫
1.一般に予熱及び層間温度は150℃~200℃を必要とします。
2.高炭素鋼、合金鋼等硬化性鋼材には300~400℃の予熱
500~600℃の後熱が必要です。
【29Cr-9Ni ステンレス鋼用異種金属接合用】
≪用途≫
ステンレス鋼と軟鋼、特殊鋼などの異種金属の接合、ステンレス
クラッド鋼の溶接、硬化肉盛溶接の下盛溶接に使用します。
≪使用特性≫
1.溶着金属は29Cr-9Niステンレス鋼で、オーステナイト系
ステンレス用溶接棒の中で最もフェライト量が多く、耐亀裂性、
耐酸化性に優れています。
2.硬化肉盛溶接の下盛にも使用されます。
≪使用上の注意≫
1.母材の亀裂防止のためできるだけ低電流を用います。
2.高合金工具鋼など特殊鋼の溶接には200℃以上の予熱が
必要です。
3.使用前に150~200℃で30分~60分乾燥して下さい。
【低C-22Cr-13Ni ステンレス鋼用】 ≪用途≫
SUS309S、ステンレス鋳鋼、耐熱鋳鋼の溶接。18Cr-8Niステンレス
鋼と軟鋼の溶接。ステンレスクラッド鋼の1層目の溶接または軟鋼の
耐食肉盛溶接に等に使用します。
≪使用特性≫
1. MTS-3LGは、極低炭素であるため、肉盛溶接等で母材の希釈を
受けても炭素の増加を抑える必要のある場合などに適しています。
2. ステンレスクラッド鋼の合せ材側の下盛溶接および炭素鋼または
低合金鋼に低炭素ステンレス鋼溶接金属を肉盛する場合の下盛
溶接にも使用できます。
≪使用上の注意≫
1. 極性は直流ワイヤプラスを使用します。また、シールドガスには
一般にAr+2%O2を使用し、流量は15~25ℓ/min. が適切です。
Ar+CO2を使用すると、溶接金属のC量が増えるので
低炭素ステンレス鋼には適当ではありません。
2. ミグ溶接は、風の影響を受けやすく、風によりブローホールが発生
する場合がありますので、防風対策を十分に施してください。
【鋳 鉄 肉 盛 用】
≪用途≫
鋳鉄(FC・FCD)の肉盛に使用します。
≪使用特性≫
1.Fe-Ni 線材に特殊元素を加えたソリッドワイヤで
半自動溶接機で使用します。
2.プレス金型など大量の肉盛時に大幅な溶接時間の短縮
がはかれます。
≪使用上の注意≫
1.シールドガスには 80%アルゴン+20%CO2またはCO2
を使用しますが、80%アルゴン+20%CO2の方が
スパッタが少なく、ビード外観も良好です。
2.シールドガスや母材のちがいにより、適正条件が変化しますので、
御注意下さい。
3.一般には予熱、後熱の必要はありませんが100℃程度の
予熱を行なうと二番硬化防止に効果的です。
4.溶接方法は前進法(トーチ先端方向へ進む)で行い、基本的には
ウィービングは極力避けストレート運棒で溶接してください。
5.収縮応力を軽減するためピーニングを行なう事をお薦めします。
【高温衝撃摩耗用】 ≪用途≫
高マンガン鋼部品、スプロケット、レールクロッシング、
熱間シャー、熱間ロールなどの肉盛に使用されます。
≪使用特性≫
1. TMC-2Gの溶着金属は、16Cr-16Mn-2Ni系の
オーステナイト組織となり、加工硬化性と靭性に富んでいます。
2. 溶着金属の強度に優れ、耐割れ性にも優れていますので、
異材溶接及び合金鋼の溶接にも適しています。
≪使用上の注意≫
1. 特に予熱の必要はありませんが、高炭素鋼、低合金鋼、
特殊鋼へ肉盛溶接する場合には、母材に応じて150℃~
300℃の予熱を行って下さい。
2. 高マンガン鋼の溶接の場合は、溶接熱による母材の脆化を
避けるため、水冷溶接または、パス間温度を常温に保ち
溶接してください。